日本だけ熱い・米国は冷静——日米温度の乖離が ±20 を超えた日、その後の日経225 と S&P500 はどう動いたか?

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はじめに

「米国は落ち着いているのに、日本だけ妙に熱い」「VIX は急騰したけど日本市場は別世界」—— 日米市場のセンチメントが食い違う局面は、年に数回必ず起きます。 このときその後どう動いてきたのかは、感覚的には知られていても 過去のデータで定量化されることは稀 です。

この記事では、日米それぞれの株温計スコアの差 (JP − US) を温度差と呼び、過去約 10 年・2,383 取引日 を集計しました。たとえば「日本が大幅に熱い (温度差 ≥ +20)」 局面は過去 290 日あり、その 3ヶ月後の日経225 は平均 +6.1% / 勝率 67%、S&P500 は平均 +5.9% でした。「日本だけ熱い=危険」とは限らないのが過去 10 年データの示す事実です。

ただしこれは 「過去そうだった」 という統計であり、未来を保証するものではありません。 データをどう読み、どう判断の補助に使うか — 後半でクロス集計を交えながら解釈します。

「温度差」とは

※ 関連用語の短い定義は 用語集「市場温度スコア」 「VIX」 「Fear & Greed Index」にもまとめています。

株温計には日米それぞれ独立した温度スコア (0-100) があります。

  • 米国版温度 — VIX (恐怖指数) を 0-100 にマッピングしたセンチメント指標。S&P500 のオプション市場の予想変動率がベース
  • 日本版温度 — 日経225 の 125 日 MA 乖離 (C1) と USDJPY の 50 日モメンタム (C5) の等ウェイト平均。需給ベース

この 2 つは原理が完全に違うため、しばしば乖離します。本記事では温度差 = 日本版スコア − 米国版スコアと定義し、

  • 正の温度差 = 日本が相対的に熱い(米国は冷静)
  • 負の温度差 = 米国が相対的に熱い(日本は冷静)
  • ±10 以内 = ほぼ同温(健全な連動状態)

VIX が急騰すれば米国版温度は急落しますが、日本版は需給ベースなので即座には反応しません。逆に円安・日経高で日本版だけ熱くなる局面もあります。

株温計の使い方

株温計は日米両方の温度を 1 画面で並べて表示します。これにより、 同じ日にどちらが熱いか を一目で確認できます。 まずは トップページの温度計で現在の日米温度を確認してから、下の集計を読み進めてみてください。

温度差の歴史的分布と、いまの水準

まず、いまの温度差が過去どれくらい珍しい数字なのかを、2,383 取引日の分布で確認します。直近の温度差は-13で、過去分布の下位から 50%の位置にあります(下位 50%)。

区分温度差 (JP − US)意味
下位 10%-45米国が極端に熱い(VIX 急騰時など)
下位 25%-31米国がやや熱い
中央値-13過去10年の中央水準(米国がやや優勢な期間が長かった)
上位 25%+7日本がやや熱い
上位 10%+22日本が極端に熱い(円安進行・需給フィーバー時など)
いま(2026-08-31-13分布の下位 50%(= 米国がやや優位 (-20〜-10)

温度差バンド別の S&P500・日経225 リターン(過去10年)

温度差の水準ごとに過去同じだった取引日を集め、3ヶ月後の S&P500 と日経225 の平均リターンと勝率を算出しました。「スプレッド」列は日経225 平均 − S&P500 平均 で、正なら日経225 が相対的に優位、負なら S&P500 が優位だったという意味です。

温度差バンドサンプルS&P500日経225スプレッド
(N225 − S&P500)
平均リターン勝率平均リターン勝率
米国が大幅優位 (≤ -20)928+2.8%78%+3.1%64%+0.3pp
米国がやや優位 (-20〜-10)▲ 現在336+2.8%74%+0.2%48%-2.6pp
ほぼ同温 (-10〜+10)607+3.3%71%+5.2%65%+1.9pp
日本がやや優位 (+10〜+20)222+4.2%77%+6.5%70%+2.3pp
日本が大幅優位 (≥ +20)290+5.9%81%+6.1%67%+0.2pp

データ期間: 2017-03-082026-08-31 (n=2,383

温度差 × 日本版温度 × 日経225(クロス市場ヒートマップ)

同じ温度差でも、日本の絶対水準(沸騰なのか平温なのか)で結果は変わります。日本版温度バンドと組み合わせて、その後の日経225 がどう動いたかを 2,236 取引日分(2017-03-082026-08-31)集計しました。※ 正=赤 / 負=緑(日本式配色)。サンプル数 20 未満のセルは薄色(参考値)。

温度差 \ 日本温度
極寒
冷え込み
平温
過熱
◀ 現在
沸騰
米国が大幅優位 (≤ -20)
+8.2%
勝率 100% / n=72
+6.1%
勝率 83% / n=266
+2.5%
勝率 56% / n=368
-2.5%
勝率 35% / n=167
米国がやや優位 (-20〜-10)▲ 現在
+14.7%
勝率 100% / n=5
+5.6%
勝率 63% / n=8
+0.5%
勝率 41% / n=104
-0.6%
勝率 51% / n=187
-0.6%
勝率 31% / n=13
ほぼ同温 (-10〜+10)
+19.3%
勝率 100% / n=16
+6.8%
勝率 96% / n=25
+5.6%
勝率 62% / n=113
+4.9%
勝率 61% / n=281
+3.2%
勝率 63% / n=130
日本がやや優位 (+10〜+20)
+20.0%
勝率 100% / n=10
+8.0%
勝率 100% / n=6
+8.8%
勝率 76% / n=33
+6.9%
勝率 70% / n=63
+3.7%
勝率 63% / n=96
日本が大幅優位 (≥ +20)
+14.6%
勝率 100% / n=3
+18.4%
勝率 100% / n=18
+10.9%
勝率 85% / n=34
+4.2%
勝率 64% / n=134
+4.1%
勝率 54% / n=84

示唆 — 収斂と発散のパターン

集計結果から読み取れるのは、以下の三点です。

  1. 過去 10 年は「米国が熱い」期間が標準。中央値が約 -13ということは、半分以上の期間で「米国温度 > 日本温度」だった。日本版温度はそもそも沸騰しにくい指標
  2. 「日本が大幅に熱い (≥ +20)」局面は、両市場ともむしろ強い傾向 (3 ヶ月後 N225 平均 +6.1%/ S&P500 平均 +5.9%)。日本独自要因(円安・需給フィーバー)で乖離した後、米国が後追いするケースが多い
  3. 意外な弱バンドは「米国がやや優位 (-20〜-10)」 (n=336 日、3 ヶ月後 N225 平均 +0.2% / 勝率 48%)。米国がじわっと熱くなり始めて日本がついていけない局面は、日経225 にとって最も停滞しがち

つまり「乖離している=危険」ではなく、どちら向きの乖離か 日本の絶対水準 の組み合わせで意味が変わります。下のヒートマップで、自分が気になるセル(日本沸騰 × 同温・米国優位など)を確認してみてください。

データと手法

  • 米国版温度: Yahoo Finance の ^VIX 日足から estimateFearGreedFromVix() で 0-100 に変換 (VIX 10 → 95、VIX 40 → 5 の線形マッピング)
  • 日本版温度: 株温計の日本版スコア (C1 = 日経225 vs 125日MA、C5 = USDJPY 50日モメンタム の等ウェイト平均)
  • S&P500: Yahoo Finance の ^GSPC 日足終値
  • 日経225: Yahoo Finance の ^N225 日足終値
  • 集計対象: 米国取引日を anchor として、日本版温度が計算できる2017-03-082026-08-31 2,383 取引日。日本休場時は 7 日以内の直近営業日の日本版温度で補完
  • 将来リターン: 各取引日の終値から 30 / 90 / 180 カレンダー日先の同指数終値を比較。該当日が取引日でない場合は 7 日以内の直近取引日で補完
  • スプレッド: 同じバンド内での「日経225 平均リターン − S&P500 平均リターン」(パーセントポイント)

※ 本記事は投資助言ではありません。過去のリターンは将来を保証するものではありません。米国温度は VIX を線形変換した近似値で、CNN Fear & Greed Index とは厳密には異なります。投資判断はご自身のリスク許容度に応じて行ってください。データ出典: Yahoo Finance(^VIX / ^GSPC / ^N225)、株温計 日本版温度履歴。