🧪 温度連動バーチャルポートフォリオ(シミュレーション)

用語の短い定義は 「DCA(ドルコスト平均法)」 「最大ドローダウン」 「市場温度スコア」にもまとめています。

⚠️ 重要な免責事項

このページの NAV / リターン / 配分推奨は、過去データに特定のルールを当てはめた「バックテスト」および「シミュレーション」の結果です。投資助言・投資勧誘ではなく、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。 現実の取引では、手数料・税金・スリッページ・約定遅延など、ここでは一切考慮していないコストが発生します。投資判断はご自身の責任で行ってください。

📍 このページの位置付け

このページは、株温計の温度スコアを「ポートフォリオ運用ルール」に落とし込んだ1 つの応用実験の検証記事です。株温計本体の価値はこのページだけに還元されません。

温度スコアは本来、次のような多面的な使い方を想定しています:

  • ダッシュボードで「今の市場はどのくらい熱い / 冷たいか」を 5 秒で把握する(共通語彙としての温度)
  • 類似日ナラティブ: 現在のスコアに近い過去日と、その後のリターンを対比して判断の補助線にする
  • 主要イベント一覧: 過去の暴落 / 高値圏を温度で振り返って文脈を得る
  • 心理ブレーキ: 沸騰時に追加投資したい衝動 / 極寒時に投げ売りしたい衝動を一瞬止める
  • 投資家タイプ別ガイド: 温度帯に応じた「あなたのスタイルでの読み方」

このページで検証したのはその中でも最も機械的で定量化しやすい用途(= 配分ルール)ですが、 それだけが株温計のすべてではない、という前提でお読みください。

📖 結論を先に(先に読んでください)

過去約10年のバックテストで、温度ルール sym 80/20 は NISA 積立型(月次 DCA)を日米ともに上回りました(JP +9.3pp / US +41.2pp)。 ただし、結論を急いで一言で片付けるのは危険です。なぜ勝ったのかを分解すると、温度計の本当の役割が見えてきます。

🔬 α vs DCA の内訳(追加検証)

sym 80/20 の実現平均株比率は JP で約 68% / US で約 65% でした。 DCA の平均は約 50%(月次に積み上がるため)なので、配分の高さだけで大きなリターン差が生まれます。 これと温度信号による timing 効果を分離するため、同じ平均株比率を定数で持ち続けた場合の成績と比較すると:

  • JP: 温度信号の純寄与は +4.8pp のみ。α vs DCA 9.3pp の大半(約 4.6pp)は「配分を高めに保った」効果
  • US: 温度信号の純寄与は -11.3pp(マイナス)。 α vs DCA の全体はプラスでも、温度で現金化した判断は裏目に出ていたのが実態
  • 一方、最大DD 抑制には温度信号が効いている: 定数配分と比べて JP で -4.4pp / US で -3.8pp 浅く抑えている(どちらもマイナス = DD が浅い)

つまり温度計は、「リターンを上げるための timing シグナル」としては限定的〜逆効果です。 しかし「最大ドローダウンを抑えるリスク管理ツール」としては、日米とも -3pp 程度の効果が確かにあります。 この正直な結果を踏まえると、このページが役に立つのは次のような方です:

  • すでに NISA 積立をしている人で、普段は株比率を積立より高めに保つことで積立超えを狙いたい方(ただし「timing で勝つ」期待はしないこと)
  • まとまった現金があり、一括投入と完全積立の中間的な入れ方を探している人
  • 暴落時に「売ってしまう」のを防ぐ仕組みが欲しい人 → 温度計は DD 抑制には効くので、心理的な支えになる

逆に、「温度を読めばリターンが上がる」という期待で来た方はぜひ下の「ルール選定プロセスと温度信号の寄与度」セクションまでお読みください。 過去10年ではそう都合よくは効いていない、というのがこのサイトが正直に公開している検証結果です。 また、これは過去10年のバックテストであり、将来の成績を保証するものではありません(現金金利 0% / 手数料 0 / 税金 0 前提)。

最終更新: (公開:

温度でポートフォリオを動かすと、どうなるのか?

株温計の温度スコア(0-100)は、「市場が今どれくらい熱狂 / 悲観しているか」を示すセンチメント指標です。ではその温度に応じて、 機械的に株と現金の配分を月次に入れ替えると、過去どのような結果になっていたのでしょうか。このページは、日経225 と S&P500 の 2 市場で、そのシミュレーションを公開するものです。

  • 🇯🇵 日本版: 温度ルール 累計 +172.7% / 最大DD -27.5%
    一括買い持ち: +289.3% / -31.8%  |  月次積立: +163.3% / -24.1%
  • 🇺🇸 米国版: 温度ルール 累計 +158.1% / 最大DD -29.2%
    一括買い持ち: +261.1% / -33.9%  |  月次積立: +116.9% / -18.3%

絶対リターンの順序は「一括買い持ち > 温度ルール > 月次積立」。 温度ルールは月次積立(DCA)を JP +9.3pp / US +41.2pp 上回りますが、 その内訳を見ると、α の大半は「配分を高めに保った」効果由来で、温度信号の純寄与は限定的です(詳細は「ルール選定プロセスと温度信号の寄与度」セクションで)。 最大DD は一括買い持ちより浅い(JP --4.3pp / US --4.8pp 改善)一方、積立よりはやや深いという「中間」の位置付け。特に米国は積立より -10.8pp 深いので、暴落耐性は積立のほうが上です。

ルールの説明

毎月第一営業日に、その時点の温度スコアをもとに下の配分表に従って株 : 現金を再配分します。 配分は「ニュートラル 80 : 20 を基準に、温度に応じて振る」ルール設定(sym 80/20)。 平温時は株 80% を保ち、極寒時はフル投資(100%)、沸騰時は株 50% まで減らします。

温度帯スコア株比率現金比率
極寒020100%0%
冷え込み214090%10%
平温416080%20%
過熱618065%35%
沸騰8110050%50%

極寒(総悲観)のときに株の比率を上げ、沸騰(総楽観)のときに下げる逆張り型のルールです。リバランスは月次で、ポジション変更は月初 1 回のみ。

バックテスト結果

下のタブで日本版 / 米国版を切替、期間切替で 1年 / 5年 / 10年の NAV 推移をご覧いただけます。

現在の配分(2026-06-03 時点)

温度
100 沸騰
NAV(初期=100)
272.7
累計 +172.70%
ベンチマーク比(α)
-116.56% pp
ベンチ: 389.3
株 51%
現金 49%

累計 NAV 推移(初期=100)

温度ルール = ^N225 と現金を月次にリバランス / 一括買い持ち = 初日に ^N225 を全額購入し保有 / 月次積立 = 同額を N ヶ月に按分して毎月投入(NISA 積立型)

バックテスト統計(2016-04-222026-06-04

指標温度ルール一括買い持ち月次積立(NISA 積立型)温度 vs 積立
累計リターン+172.70%+289.26%+163.35%+9.35% pp
CAGR(年率)+10.43%+14.38%+10.05%+0.38% pp
最大ドローダウン-27.52%-31.80%-24.07%-3.45 pp
Sharpe(年率)0.730.770.77-0.04

月次積立(DCA): 初期 100 を N ヶ月で等額按分し、毎月第一営業日にその月分を株へ投入(NISA 積立投資の典型パターンを模擬)。 累計で 100 を全額投入する点で、他 2 戦略と元手を揃えて比較できます。

現金金利シナリオの感度分析

本体モデルは現金金利 = 0% を前提にしています。現実には MMF や短期国債で年 1〜3% の利息が付くため、本戦略の相対的な不利さは実際には小さくなります。 以下は同じルールで現金金利だけを差し替えた場合の過去約10年の結果です。

現金金利シナリオ累計CAGRαSharpevs ベンチ Sharpe
現金 0%(本体モデル)本体モデルに一致+170.12%+10.33%-111.36% pp0.73-0.04
MMF 相当 1%+178.60%+10.67%-102.88% pp0.75-0.02
短期金利 3%+196.38%+11.35%-85.10% pp0.79+0.02
ベンチマーク(100% 株 buy & hold)+14.38%0.77

※ 金利は年率想定。日次複利 1/252 で計算(シミュレーター内)。税金・手数料は引き続き 0 前提。現金金利は株価とは独立に付与されるため、ドローダウンには影響しません。

リバランス履歴

毎月第一営業日に温度帯を判定し、目標株比率へスイッチ。直近から表示。

日付温度→ 株比率NAV
2026-06-02100沸騰65% → 50%269.3
2026-06-0176過熱50% → 65%270.1
2026-05-0188沸騰80% → 50%254.1
2026-04-0157平温65% → 80%234.0
2026-02-0262過熱50% → 65%230.9
2025-11-0497沸騰65% → 50%228.3
2025-07-0163過熱90% → 65%192.3
2025-05-0122冷え込み100% → 90%176.9
2025-04-0118極寒90% → 100%172.9
2025-03-0324冷え込み80% → 90%182.2
2025-02-0354平温65% → 80%185.1
2024-11-0169過熱90% → 65%183.6

ルール選定プロセスと温度信号の寄与度

このセクションは「温度計が本当にリターンを上げるのか」という最も大事な問いに、 他の投資サイトではあまり公開しない厳しい検証で答える部分です。結論を隠さず書きます。

なぜ sym 80/20 になったのか(過剰最適化リスクの開示)

初期バージョンは「ニュートラル 60/40(平温=株60%)」でしたが、このルールでは過去10年で積立(DCA)に JP -8.9pp / US -4.0pp 負けていました。そこで候補ルール 17 本(対称シフト / 非対称 / 極端帯トリガー / 温度連動 DCA の 4 系統)を scripts/explore-portfolio-rules.ts で網羅テストし、最もバランスの良かった sym 80/20(ニュートラル 80/20、極寒100% / 沸騰50% の非対称)を採用しました。

⚠️ 過剰最適化(オーバーフィット)リスク: 17 ルールから「過去10年で最もよく勝った 1 本」を選ぶこの行為は、多重検定問題を抱えます。本当に温度に価値がなくても、候補が多ければ偶然よく見える 1 本が選ばれてしまう可能性があります。 このリスクを補う追加検証として、次の「温度信号の純寄与度」を同時に見てください。

温度信号の純寄与度 — α のうち、温度 timing に依る部分はどれくらいか

sym 80/20 の実現平均株比率は JP 約 68.3% / US 約 64.6% です。 積立(DCA)の平均株比率は月次に積み上がるので約 50%。したがって、α vs DCA の一部は単純に「温度ルールのほうが平均で株を多く持っていた」という配分効果です。 これと「温度信号の timing 効果」を分離するため、同じ平均株比率を定数で持ち続けた場合と比較します。

市場温度ルール (sym 80/20)定数配分(同じ平均)温度信号の純寄与
🇯🇵 JP リターン+172.7%+165.3%+4.79pp
🇯🇵 JP 最大DD-27.5%-23.1%-4.39pp(浅い)
🇺🇸 US リターン+158.1%+169.6%-11.28pp
🇺🇸 US 最大DD-29.2%-25.4%-3.81pp(浅い)

どう読むべきか — 温度計の本当の役割

  • リターンで見ると温度信号は弱い: JP ではごく軽微にプラス(+4.8pp)、US ではむしろマイナス(-11.3pp)。 つまり「温度が沸騰したから売る / 極寒だから買う」という判断は、過去10年の両市場では期待ほど timing として効いていません
  • 最大DD 抑制では温度信号が効いている: 日米とも定数配分より -3pp 程度 浅く抑えています。 これは「沸騰で株比率を落として暴落直前にリスクを減らした」一部の局面が効いた結果で、温度計は「急落前に少しクッションを入れる道具」として機能しています
  • α vs DCA のほとんどは「配分の高さ」由来: 平均 65〜69% の株比率は、積立の平均 50% より明確に高い。強い右肩上がりの過去10年では、 この差だけで大きなリターン差が生まれました。「温度の timing が勝利の源泉」ではなく「長めに株を持ち続けたほうが勝つ相場だった」のが本当の姿です

💡 まとめ: 温度計は「リターンを上げるための timing シグナル」ではなく、「暴落時に慌てて売らないための心理的・機械的なブレーキ」として使うのが、過去10年のデータから見える正直な役割です。 積立(DCA)を上回る α の大半は、単に「株比率を高めに保った」から。もし温度を一切見ず定数 70% で持ち続けていても、似たようなリターンは得られた可能性が高いという事実は、 このサイトの価値提案を再考する材料でもあります。

データと手法

  • 対象銘柄: 日本版 = ^N225、米国版 = ^GSPC(いずれも Yahoo Finance 日足終値)
  • 温度スコア: 日本版 = C1(日経225 vs 125日MA)+ C5(USDJPY 50日モメンタム)の等ウェイト平均 / 米国版 = VIX から線形推定(株温計トップの米国版温度と同一ロジック)
  • バックテスト期間: 2016-04-222026-06-04(日本温度履歴の起点に合わせて両市場を揃え)
  • リバランス: 毎月第一営業日に温度帯を判定し、目標株比率に合わせて株/現金を入れ替え。月中は据え置き
  • ベンチマーク(2 種類): (1) 一括買い持ち = 同じ銘柄を初日に 100% 買って保有。 (2) 月次積立(DCA) = 初期 100 を N ヶ月で等額按分し、毎月第一営業日にその月分を株へ投入(NISA 積立投資を模擬)。 累計投入額を 100 で揃えて 3 戦略を比較しています
  • 前提(重要): 現金金利 = 0% 固定 / 手数料 = 0 / スリッページ = 0 / 税金 = 0。 現金金利の影響はバックテスト結果セクション内の「現金金利シナリオの感度分析」で 0% / 1% / 3% の 3 シナリオを並列掲載しています
  • NAV の基準: 初日を 100 として正規化
  • ライブ追跡: 毎営業日 JST 07:00 に snapshot:portfolio で新規価格と温度を取り込み、JSON を差分更新 → Vercel 再デプロイ

バックテストに内在するバイアス

  • ルール選定の多重検定バイアス(最大の懸念): sym 80/20 は候補 17 本から「過去10年で最もよく勝った 1 本」を選んで採用しました。 温度に本当の timing 価値がなくても、候補が多ければ偶然よく見える 1 本が選ばれる可能性があります。 上の「温度信号の純寄与度」テーブル(JP +4.8pp / US -11.3pp)が小さい or マイナスなのは、この懸念が単なる懸念で終わっていない可能性を示唆しています
  • ルック・アヘッド・バイアスの可能性: 本シミュレーションは「当日終値と当日終値時点の温度」でリバランス判断を行います。現実には終値が確定した後に翌日以降の寄りで執行するため、理論値と現実の間に乖離が生じます
  • 現金金利 0% は保守的(バックテスト側に不利): MMF を使えば年 1〜3% の利息が付きます。現金比率が高いシナリオでは、ここに入れていない分だけ成績は過小評価されています
  • 執行コストを無視: 現実には売買手数料・スプレッド・スリッページが発生します。月次リバランスは年 12 回程度なので低頻度ですが、ゼロではありません
  • サンプル期間の制約: 日本温度履歴の起点が 2016-04-22 のため、10 年程度のバックテストです。リーマンショックなどより古い暴落局面は含まれません
  • 相場レジーム依存(温度信号の寄与が US でマイナスだった理由): 過去10年は日米とも強い右肩上がり相場で、特に米国は調整らしい調整が限定的でした。「過熱 / 沸騰で株比率を下げる」系のルールは、このような一本調子の上昇相場では構造的に不利です (下げる直前に現金化できなければ、上がり続ける間に買い戻しの機会を失う)。 したがって温度信号の純寄与度が米国で -8pp となったのは、温度計そのものの本質的な弱点というより、「10 年強気相場」というレジームに対するこのルール設計の相性の話でもあります。 リーマン級の長期下落や、1990 年代日本のような横ばい相場を含む期間では、 同じ温度信号の寄与が逆転する可能性があります(が、それを検証するデータは本サイトにはまだありません)
  • 温度スコア自体の過剰最適化リスク: 株温計のスコア(特に日本版 C1+C5)は現在の相場特性をもとに閾値が設計されています。将来も同じ働きをする保証はありません

※ 本ページの情報は投資助言ではありません。バックテスト結果は過去データの集計であり、将来の運用成果を保証するものではありません。投資判断はご自身のリスク許容度に応じて行ってください。データ出典: Yahoo Finance(^N225 / ^GSPC / ^VIX / USDJPY=X)、日本温度履歴は株温計独自計算。